大都市近郊住宅での空き家急増
40年前の総住宅数は3000万戸。今は倍の6000万戸もあるんです。
全国の空き家は820万戸で その多くが賃貸空き家だったり売却中で、
住人不在放置住居は318万戸あり問題となっています。
この空き家問題は過疎化した地方で始まりました。
大都市では木造密集地域の空き家の火事や防犯上・衛生上での危険、
豪雪地帯では倒壊などの危険があり老朽化した空き家の解体代執行がスタート。
解体費は100万円を超えその負担が地方の空き家問題
大都市空き家問題は高額になる固定資産税です。
建物解体すると土地は住宅敷地としての軽減がなくなり税額は6倍にも膨れあがります。
今後、大都市で問題化するのは40~50年前に東京近郊で分譲された駅遠やバス便の戸建て住宅地です。
長時間満員通勤を我慢して、無理して買った、夢の一戸建て。
しかし子供は卒業就職結婚し都心マンションに暮らし、不便な実家には戻りません。
お隣ご近所も同世代同事情。
年寄り世帯になり単身世帯になり 無人になり、商業施設は消え 過疎化していきます。
子世代は利便性重視で不便な立地の実家には住みません。
空き家を相続すれば空地管理責任と年20万の固定資産税納税義務です。
万一解体すれば固定資産税は100万円、間違っても解体などはせず放置します。
ご近所も同じ、そんな住宅地に新たな住み手は現れずに、売れず貸せず。
それでも路線価で相続税です。
子らの遺産分割協議で、実家は引き取り手のいない押し付けあい財産となります。
東京下町の木造密集市街地狭小住宅や郊外老朽マンション団地でも似た問題が起こります。
空地問題は地方の問題に限らず、大都市の問題になります。
固定資産税6倍と行政代執行
空き家対策特別措置法が施行されました。
1年間にわたり使用されていない空き家であって、(1)倒壊等危険のおそれ、
(2)衛生上有害の恐れ、(3)適切管理がなく著しく景観を損なう、
(4)周辺生活環境保全から不適切、なら行政が対処します(なおこれらに非該当なら
固定資産税が6倍になる心配は無用です)。
行政は、所有者に助言指導し、次に勧告し(固定資産税を6倍にする)、
次に命令し(従わなければ過料)、最後に代執行です。
代執行とは所有者に代わり行政が解体を執行することで、解体経費は所有者から取り立て、
土地競売までして徴収しますが、担保付だったり換価できなければ行政の負担です。
私有財産制の国、この日本で、何と所有者不明でも解体の代執行ができるようになりました。
京都市は2015年6月に所有者が見つからないまま解体しました。
この新制度、特に固定資産税6倍化をマスコミが大きく伝え、空き地所有者への
プレッシャーとなっています。
空き地所有者の選択肢は、解体・売却・賃貸ですが、そこで生まれ育ち、思い出と仏壇の残る家。
簡単には決められません。
過疎化住宅地だけでなく人気住宅地でも同じ問題です。